ITコンサルD氏のケース

大手事業会社

プロフィール

  • 氏名:高橋 優斗(仮名)
  • 年齢:32歳
  • 経歴
    • 大手ITコンサルティングファーム(6年間勤務)
    • → 日系大手製造業(DX推進部門)に転職
  • 専門分野:システム導入、デジタル戦略、業務改革(BPR)

転職前の状況(ITコンサル時代)

高橋さんは、新卒で大手ITコンサルティングファームに入社し、製造業・流通業のクライアント向けにERP(SAP・Oracleなど)の導入支援やDX推進プロジェクトに従事。特に、業務改革(BPR)とデータ活用戦略を強みとしていた。

コンサルの仕事はやりがいがあったものの、**「提案だけでなく、自分がシステム導入後の運用やデジタル戦略の実行まで関与したい」**という思いが強まり、事業会社への転職を決意。特に、製造業のDX推進に興味を持ち、事業会社のIT部門(DX推進部)を中心に転職活動を進めた。


転職先の企業とポジション

  • 企業:日系大手製造業(売上高1兆円超)
  • ポジション:DX推進部門 マネージャー
  • 業務内容
    • グローバルERPシステムの導入・運用管理
    • データ活用戦略(BIツールの導入、データ分析基盤の整備)
    • 現場業務のデジタル化支援

転職後の成果と挑戦

1. グローバルERPシステム導入を主導

転職後すぐに、海外拠点へのERPシステム導入プロジェクトを担当。コンサル時代の経験を活かし、業務要件定義やシステム設計の最適化をリード。現場の業務部門とIT部門の橋渡し役を担い、導入を円滑に進めた。

結果として、従来3年以上かかっていたERP導入を、2年以内に短縮することに成功。

2. 「提案」から「実行・運用」への適応

コンサル時代は、クライアントに戦略やシステム導入の提案を行うことが中心だったが、事業会社では**「実際にそのシステムを使う現場の課題解決」**が求められた。

特に、ERP導入後の「定着化」に課題があり、現場ユーザーからのフィードバックをもとに継続的な業務改善を実施。ユーザー研修やシステム運用ルールの見直しを行い、システム定着率を大幅に向上させた。

3. データ活用基盤を整備し、経営の意思決定を支援

ERP導入と並行して、経営層向けのデータ活用プロジェクトを推進。BIツール(Tableau, Power BI)を導入し、リアルタイムでの売上・在庫データの可視化を実現

結果として、

  • 在庫管理の精度向上により、余剰在庫を15%削減
  • データドリブンな意思決定を支える経営ダッシュボードを構築

といった成果を生み出した。


ITコンサルから事業会社に転職して感じた違い

項目 ITコンサル 事業会社
仕事のスタイル クライアントへの提案 自社のシステム導入・運用
意思決定の関与度 提案のみ、最終決定はクライアント 自ら意思決定を行い、実行まで関与
業務範囲 戦略・要件定義・設計 企画・導入・運用・改善まで一貫して担当
成果の測り方 クライアントの満足度 自社の業務効率化・売上向上への貢献

まとめ

高橋さんは、ITコンサル時代に培った業務改善・システム導入の知識を活かしながら、**「運用・定着化のフェーズまで関与できる」**という事業会社ならではのやりがいを実感。

特に、DX推進のような長期的な取り組みでは、**コンサル時代よりも「自分の仕事が経営に与える影響を実感しやすい」**という点が魅力だった。現在は、DX戦略をさらに推進し、将来的にはCIO(最高情報責任者)を目指している。


💡 ITコンサルから事業会社への転職を考える人へのアドバイス

  • 「運用・定着フェーズに関与したい」という思いがあるなら最適な選択肢
  • 「スピード感」はコンサルより遅いが、その分、長期的な視点で影響を与えられる
  • 事業会社ならではの「現場の声を聞く力」「社内調整力」が求められる
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